“ガンダム”であり“無双”であるギャップを、心から楽しめる大人だけに許された愉悦「ガンダム無双」レビュー(3/3 ページ)

» 2007年03月16日 00時00分 公開
[小城由都,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

ルールは2つ。フィールドを確保せよ! 味方を見殺しにするな!!

 本作の目玉は、まさに“爽快感”。ザクやグフまでならギリギリわかるが、ドムやゲルググまでもが大量に登場し、それらをバッサバッサを切り刻んでいくのは、これはアナザーワールドならではの楽しみだ。

 だからといって、自由気ままにビームサーベルを振り回していればよいかといえば、そうでもない。まずはフィールドという概念を覚えること。フィールドを確保していると、その周辺での攻撃活動が有利になる。敵のフィールドを味方のものにするには、一定数のモビルスーツを倒せばよい。ときには守備隊長が登場したり、特定のモビルスーツが邪魔しにきたり、イベントが発生したりするが、それらを破壊することができれば、そのフィールドは味方のものになる。そして前述したが、ジムやらボールやらの味方モビルスーツが無造作に中空からボテボテと落ちてきて、守備に就く。

 フィールドを確保すると、そこに隣接する敵フィールドの威力が弱まる。味方フィールドが隣接していれば、守備威力が強まる。つまり、要所となるフィールドを陥落させたければ、周囲のフィールドをまず落とし、威力を弱めてから攻勢に出るのが正攻法になるのだ。フィールドに入ると、画面中央上にフィールド耐久力と隣接フィールド数が表示される。これを参考に戦うのが賢いだろう。この陣地のやりとりが、無双シリーズの醍醐味。その面白さは、操作キャラクターが趙雲だろうとガンダムだろうと、変わることはない。

 また、原作と同じく、カイ、ハヤト、リュウなどがそれぞれのモビルスーツに乗って動き回っている。彼らはアムロほどニュータイプが覚醒していないせいか、けっこうアッサリとやられてしまう。味方が苦戦していることを知ったら、即座に助けに行くくらいの気持ちが重要だ。

 この2つをおさえておけば、快適なガンダム無双の旅をお楽しみいただける。

一定数の敵を倒し、守備隊長やボスを倒すと、そのフィールドを確保できる。ゲーム中新規のフィールドが登場することもある
よ、弱すぎる!! 味方は基本的にそれほど戦力にならないと思い、常に自分が助けにいく、という心がまえでプレイするほうがよい

オタク心の浅い部分をくすぐる絶妙なバランス加減は◎

 何度も述べてはいるが、本作はガンダムをモチーフにしたアナザーワールドである。ガチャポン戦記やスーパーロボット大戦など、こういった“もうひとつの”を楽しむゲームは、これまでにもいくつも登場している。そういう意味で、本作の本当の醍醐味は、「OFFICIAL MODE」ではなく、「ORIGINAL MODE」であろう。ドモン・カッシュ、ヒイロ・ユイ、ロラン・セアックの3名からパイロットを選ぶことができるモードであるが、OFFICIAL MODEをクリアしたあとであれば、そのパイロットを使用して遊ぶことができるようになっている。まずOFFICIAL MODEをプレイしつくし、のちにORIGINAL MODEにじっくり取りかかるのが順序として美しい。

ORIGINAL MODEは、いきなり表れた小惑星を舞台に、シリーズを越えたガンダムたちがそれぞれの思惑で戦い続けるストーリー
初期選択できるパイロットは3人。しかしOFFICIAL MODEのクリア次第では、使用できるパイロットが次々と増えていく

 ORIGINAL MODEの詳しい解説は割愛させてもらうが、なんとなくガンダムを知っていれば、なんとなく楽しめてしまうあたり、「真・三國無双」に通ずるものがある。筆者の周囲にも歴史や物語としての三国志は知らなかったが、無双を通じて各キャラクターに思い入れが生まれ、原作を読むきっかけになった、という人が何人もいる。まさにその感覚を味わえるのが、このモードのいいところだ。

 ガンダムシリーズのキャラクターがいっしょくたに2つの勢力に分かれ、それぞれ覇権を争う。すると不思議なことに、それぞれのキャラクターに思いいれが出てくるのである。これまで2頭身キャラクターでしかグラフィックに起こされてこなかった武者ガンダムも、本作では完全なモビルスーツとして描かれており、ファンにとってはプレイ必須のうれしいサプライズだ。

 ガンダム、無双、それぞれに強い思い入れのある人は、一瞬思考が止まるかもしれないが、案ずるより産むが易し。ひとまずプレイしてみよう。グラフィックはプレイステーション 3の威力をふんだんに活用しているので、気持ちいいくらい美しいし、音も前から後ろからと臨場感たっぷり。シリーズを知っている人なら、名セリフもしっかり聞けるし、再現グラフィックを見る楽しみもある。

 もちろんアナザーワールドに飛び出たパイロットたちの駆け引きも必見だ。もともと一流の品質を認められている両作品だけに、安心感をもって楽しむことができる。そのうえ、無双開発スタッフはガンダムチームに、ガンダムチームは無双開発スタッフに、とってもとっても気をつかいあいながら、入念に打ち合わせを繰り返して制作したことが容易に想像できる。それだけていねいに作りこまれているから、これだけ破天荒な企画でも、笑って楽しむことができるのだろう。愛すべきバランス感覚だ。

 ガンダムシリーズを“なんとなく”知っている人、無双シリーズを“なんとなく”遊んだ人は、それぞれに強くハマる入り口となるかもしれない。もしそれを狙ったコラボレートだとしたら……いやぁシタタカですな。

「ガンダム無双」
対応機種プレイステーション 3
メーカー発売元:バンダイナムコゲームス、開発:コーエー(ω-force)
ジャンルタクティカルアクション
発売日2007年3月1日
価格(税込)7800円
(C)創通エージェンシー・サンライズ


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/01/news077.jpg ミュージカル『ディズニー くまのプーさん』、舞台が見えづらいとの指摘に謝罪 「視認性の改善を講じる」
  2. /nl/articles/2404/30/news015.jpg 【今日の計算】「500×99」を計算せよ
  3. /nl/articles/2404/30/news156.jpg 「葬送のフリーレン」の勇者一行、ネモフィラ畑に現る 名場面にちなんだコスプレが「これを花畑を出す魔法か」と23万いいね
  4. /nl/articles/2402/21/news158.jpg 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  5. /nl/articles/2405/01/news092.jpg “スケスケ成人式コーデ”が物議のモデル、「3度見される服」を披露 「コレは見ちゃうわ」「洗っても大丈夫なのか」の声
  6. /nl/articles/2405/01/news095.jpg 秋元康、AKB48卒業の柏木由紀に送った手紙が物議 “冒頭の一文”に「昭和丸出し」「嫌すぎる」
  7. /nl/articles/2405/01/news014.jpg 1歳娘、ちょっと目を離したら衝撃の光景が……! リアル過ぎるワンオペ現場が190万再生「わかりみすごすぎです」
  8. /nl/articles/2404/29/news009.jpg 天井裏から変な音がする→スマホを突っ込んで撮影したら…… 映った“とんでもねぇ”モノに「恐ろしい」「何これ」と騒然の196万表示!
  9. /nl/articles/2403/21/news104.jpg 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  10. /nl/articles/2405/01/news011.jpg 息子「あしたから下敷きいるって」母「ええやつあるで(ドヤ」 母の愛がつまった手作り下敷きに「なにこれめっちゃほしい!」と注目集まる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  2. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  3. しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  4. 天井裏から変な音がする→スマホを突っ込んで撮影したら…… 映った“とんでもねぇ”モノに「恐ろしい」「何これ」と騒然の196万表示!
  5. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  6. 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  7. 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  8. 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  9. 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  10. スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評