直感的に楽しみ、そして考察を加えてさらに楽しめ:「メタルギア ソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」レビュー(1/2 ページ)
ソリッド・スネーク最終章。20年に及ぶ物語はいかにして幕を下ろしたのか。そして、そこに込められたメッセージとは何なのか。インターナショナルな注目を集める作品の魅力と真価を、システム、ストーリーについてご紹介する。
一見さんはお断り?
いきなりだが、弁護から始めてみよう。もし、あなたが「メタルギア ソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」(以下、MGS4)をプレイして何か違和感を感じるとしたら、その主原因になり得る要素は2つある。1つは初めてのプレイヤーがストーリーに付いていきにくいこと。もう1つは膨大なムービー。まずはこれらについて考えてみよう。
話はちょっとゲームから離れるが、一般的に言ってシリーズには大きく2つのタイプがある。個々の作品の独立性が強く、全編を通して見なくても、それほど支障がない場合。もちろん、すべて見ることで細かな設定などが分かって楽しさが増すが、それぞれの作品を単体で見ても面白さは失われない。映画で言えば、「007」シリーズなどが挙げられる。それに対して、連続性が強く、原則として以前の作品をすべて見ていることが前提となっている場合。同じく映画で例を考えれば、「スター・ウォーズ」や「マトリックス」などが挙げられよう。
後者のタイプを前にして、ストーリーが分からない、と怒る人はあまりいないだろう。例えば、初めて「スター・ウォーズ」を見た人がいて、その時たまたま“シスの復讐”を見たとする。その人は、キャラクターも世界観もよく分からず、最後に登場する黒い甲冑の騎士の意味もさっぱり理解できないかもしれない。スペースオペラとしての面白さは感じるかもしれないが、頭には多くのクエスチョンが渦巻くはずだ。
それでもこれは別に作り手が悪いわけではない。単にシリーズが続き物だったというだけのことだ。単体性と連続性のどちらを重視するかは純粋に作り手の選択に過ぎず、何ら非難されるいわれはないだろう。
そして映画だけではなく、コミック、小説、テレビドラマに至るまで、シリーズ物というのはタイプ的には後者が圧倒的に多い。そのほうが固定客も掴まえやすく、ビジネスとしても成立しやすいというメリットもあるだろう(逆に言えば、そのアドバンテージを捨ててあえて一話完結型に挑むシリーズというのは、シナリオに自信を持っている場合が多いのだが、これは本論と関係ないので割愛)。
さて翻って、「メタルギア」シリーズはどちらのタイプに位置するシリーズなのだろうか。その答えは前者、独立性を意識したタイプに属すると言えよう。何しろゲームなのだから前作を必ずプレイしているという条件を設けるのはあまりに危険すぎる。つねに新規のユーザーのことを考えねばならない。キャラクターの統一性はあっても、これまでの諸作はこの原則に沿って作られてきた。
ところが、このアプローチが変わったのだ。独立性が皆無になったわけではないが、シリーズの伝統を破って、連続性を強く意識している。これはなかなか勇気のいる結論だったろうが、注意すべきはそれでも敢えてそれが採用されたことだろう。
連続性を重視した姿勢は、明らかに終了宣言として受け取ることができる。もちろん、ゲームファンであれば、今回がソリッド・スネークの物語としては最終章になることなど、事前の宣伝で先刻ご承知かもしれない。だが、それでも独立性を意識することは不可能ではなかった。いつもと同じく新しい任務を構築し、でもこれで終わりだよ、と言えばいいのだ。しかし、それは採られなかった。それはすなわち、今回の作品が新規のファンよりも従来からのファンを意識していることを示している。その理由は1つしかない。“訣別”だ。シリーズを支えてくれたファンへの思いを込めて最終作を作る。そこには明確で、非常に強い別れの決意が感じられないか。
ここまではっきりした態度を見せられては、もはや不満がどうこう言うレベルではないだろう。「MGS4」は、そうした思いを理解したうえで、それを超越して作られているのだから。
あらゆる儀式は完璧ではないと馬鹿げたものになる
次にムービーについて考えてみよう。「MGS4」の本編に収録されているムービーは非常に膨大だ。
ここから、いくら何でも多すぎる、という不満が出てくる可能性がある。確かにそれは否定できないかもしれない。だが、ここでも先ほどの話を思い出していただきたい。ソリッド・スネークの物語を閉じるという位置づけと、それを具現化しようとする強い意志。「MGS4」はいわばスネークの葬儀なのだ。そして葬儀とは人生における、もっとも重要な儀式である。
連合王国の女王エリザベス2世の式典官を務めた廷臣の言葉に、“あらゆる儀式は完璧ではないと馬鹿げたものになる”という名言がある。まさにその通り。シリーズの完結とは、スネークはもちろんのこと、彼に関わるさまざまな人々にとっても終わりを意味する。だとすれば、彼らの個々のエピソードを紡ぐ必要が出てくる。バイプレーヤーたちといってもシリーズを支えてきた重要なメンツである。彼らにそれぞれしかるべきラストを与え、そのうえでもっとも重要なスネークのエピソードを描く。10時間という時間は、そこから出てきた、いわば必然と考えられるだろう。メタルギア ソリッド4は荘厳な鎮魂歌なのである。
従来作を知らないとキャラクターたちが把握できないこと、そして膨大なムービー。それらは決して作品の価値を下げるものではない。むしろファンサービスですらあるのだ。もちろん、そうした手法に対して好き嫌いはあるだろう。それは個人の主観としては正しい。だがゲームを作る論法としては間違ってはいないのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
-
誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
-
小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
-
娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
-
プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
-
1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
-
メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
-
子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
-
巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
-
ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
- 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
- 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
- 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
- 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
- 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
- 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
- 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
- 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
- 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
- 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」