小浜良いとこ「アメリカ大統領選挙」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(3/3 ページ)

» 2008年12月03日 00時00分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

小浜市の魅力的な風景

 小浜の漁港近くにある若狭フィッシャーマンズワーフには、団体・ツアーの観光客が大勢いて、大型バスが何台も止まっていた。ここからは蘇洞門(そとも)という、6キロにわたって続く断崖絶壁の、景観を見られる遊覧船が出ている(時間が合わなくて私は行けなかった)。

photo 御食国若狭おばま食文化館。5日は地元の人々と各マスメディアがここに集まって、開票速報を見つめていた

 御食国(みけつくに)若狭おばま食文化館は、小浜の食べ物に関するミュージアム。小浜が、朝廷に食物を納めてきた「御食国」であり、鯖街道の起点でもあり、北前船の寄港地でもあったことが解説されている。蒸しカレイ作りの様子を再現したジオラマや、小浜藩医だった杉田玄白が提唱した「養生七不可」、そして「ちりとてちん」のセットも展示。また地元の伝統工芸品、特に塗り箸について詳しく解説されていた。

 いづみ町というアーケード街には今でも魚屋が多いが、ここは江戸時代初期から魚の問屋や仲買人が集まり、京都へ向かう鯖街道の拠点となっていた。小浜で鯖に塩を打って京都の出町柳へ運べば、着く頃にちょうどいい塩梅になったという。「京は遠ても十八里」という言葉が残るように、京都とのつながりが深い土地だったのだ。

 ちなみに、小浜で食べた焼き鯖は、やっぱりうまかった。


photo いづみ町には鯖街道資料館という、鯖街道についての解説や、昔の道具が展示された小さな資料館がある
photo 町並み保存資料館。細長い千本格子と、うだつが特徴的
photo 三丁町では、京都の町を連想させる細い路地に、町屋の建物が並んでいる

 三丁町を始めとした西部地区の、町屋の連なる風景もまたいい。町並み保存資料館は、江戸時代後期の町屋を修理した建物。裏庭に生えた柿の木が、素朴な彩りを添えていた。

 小浜は海岸からの眺めも良く、対岸の山々がいい風景を形作っている。ただし、この風景が左右にかなり広がっているので、写真に収めてしまうとその魅力が今ひとつ伝わりづらい。夕暮れどきはことさらきれいなので、ぜひ一度当地まで来て、実際に眺めてみることをお勧めする。

 私も単に、この記事のネタにするためだけに小浜まで来たのだが、海や町並みの風景、食べ物、伝統工芸といった小浜の魅力に、すっかり引きつけられてしまった。「オバマ候補を勝手に応援する会」の思うつぼである。

 市街地を中心に歩き回ったので、山のほうまでは行かなかったが、市内の山々には“海のある奈良”とよばれるほど古刹が多く、それも見どころとなっているようだ。特に明通寺は、本堂と三重塔が国宝に指定されている。

photo 人魚の肉を食べて800年も生きたという、八百比丘尼の伝説があることにちなんで設けられた「マーメイドテラス」
photo 若狭湾の夕暮れ。本当はこの左右にも海が広がっている

もう1回プレイしてみたら事態が進展

 小浜から帰ってきた後、画面写真を撮影するためにアメリカ大統領選挙をプレイしたら、はからずも予備選を突破して、全国党大会まで進んでしまった。

 今までよりも頻繁に世論調査を行なったのが良かった。マニュアルと首っ引きで、州の民意と候補者のポリシーの合致点を3つ探して、それらを政策項目に選ぶ。政策値を少しずつ調整して、その都度世論調査を行い、支持率の増減を確かめる。政策値を動かすと直ちに支持率に反映されるので、プレイヤーの行動によって選挙の情勢を変えられる。

 政策を賛成・反対の2択ではなく、どの程度の賛成・反対かゲージで調節して決めるシステムは、「新たな支持者を増やすために従来からの主張を緩めたら、従来からの支持者が減ってしまう」という、大統領選にありがちなジレンマを、うまく表現したシステムといえる。強く主張すれば支持率が上がるとは限らないのだ。

 私はゲームをプレイしている間に、各政策項目についてもっと知りたくなり、当時の(一部は現在まで続く)さまざまな問題について、ネットで調べるきっかけになった。

 メーカーのヘクトはこの後、株の売買をテーマにした「株式道場」や、M&A(企業の合併・買収)を描いたアドベンチャーゲーム「ビジネス・ウォーズ」、日本の政界をパロディにした麻雀ゲーム「麻雀倶楽部 永田町」などを発売する。いずれもヒットしたとは言い難いが、早すぎた“シリアスゲーム”だったと言えるだろう。

photo 共和党大会でサッシャー候補が過半数の代議員を獲得し、党の大統領候補に決まった瞬間

 サッシャー候補で再プレイして、見事、党の大統領候補として指名を受けることができた。次はいよいよ本選挙だ。各州ごとに勝者独占方式で選挙人を選び、過半数である270人以上の選挙人を獲得した候補が、次期アメリカ合衆国大統領となる。

 本選でも予備選同様、48項目の中から3つの政策を選んで政策値を決める。やはり小まめに支持率をチェックして、政策値を微調整する必要がある。政策値を決定して、テレビCMの予算配分を終えたら、全国遊説へと移る。だが遊説の内容はゲーム中には描かれず、そのまま11月8日の投票日を迎えた。

 サッシャー、デカキス両候補ともに政策が似ていたためか、予備選で主張してきたのと同じ政策では決定的な差をつけられず、カリフォルニア、ニューヨーク、テキサスなど、選挙人の多い州を取られて敗れてしまう。

 何度も再挑戦を繰り返した末、サッシャー候補のポリシーだったが、予備選では1回も主張していなかった「財政支出の抑制」を掲げてみた。これが決め手になったのか、支持率でデカキス候補を引き離し、ついに大統領選に勝利することができた。

 やっぱり日本を叩くだけでは、大統領になれないということが良く分かった。……選んだ3つの政策の中には、しっかりと「新包括貿易法案」も入っていたけど。


photo 本選挙では東側の州から開票されていく。カリフォルニアは取れそうもなかったが、そこの票が開く前に決着をつけることができた
photo 翌年1月、ホワイトハウスでの就任宣誓式でゲームは終わる。「わたしは合衆国大統領の職務を忠実に遂行することを、厳粛に誓約する」

●取り上げてほしいなつかしゲー募集

思い出のあるゲームについて、ゲイムマンと語ってみませんか? あのゲームが好きだったのに今はもう手元にない、けどもう一度見てみたい! とか、俺が好きだったこのゲームを紹介しないなんて許せない! というあなた。是非こちらから、取り上げてほしいゲームをリクエストしてください。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/07/news109.jpg 「ロッチ」中岡、顔にたっぷり肉を蓄えた激変ショットに驚きの声 「これ…ヤバいって」「すごい変身っぷり」
  2. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  3. /nl/articles/2405/06/news040.jpg 「東京チカラめし」約2年ぶりに東京で“復活” まさかの出店場所に驚き「脳がフリーズしそうに」
  4. /nl/articles/2405/03/news025.jpg 「今までなんで使わなかったのか」 ワークマンの「アルミ帽子」が暑さ対策に最強だった 「めっちゃ涼しー」
  5. /nl/articles/1611/04/news117.jpg 「ヒルナンデス!」で道を教えてくれた男性が「丁(てい)字路」と発言 出演者が笑う一幕にネットで批判続出
  6. /nl/articles/2405/07/news114.jpg 大谷翔平がエスコート 真美子さん「ドジャース奥様会」に再び登場で頭ひとつ抜き出る
  7. /nl/articles/2405/08/news030.jpg 「新紙幣出てきたんだけど」 レジで“千円札”見た若者がポツリ→まさかの正体にショック広がる 「そうだよねえぇ」
  8. /nl/articles/2405/07/news043.jpg 16歳お姉ちゃんと0歳弟、赤ちゃんが泣くとすぐに抱っこして…… 愛をそそぐ姿に「愛しさ溢れてて号泣」「いいね1万回押したい」
  9. /nl/articles/2405/05/news018.jpg 地元民向け“バリカタ仕様”の袋麺だと思ったら……思わぬ落とし穴に「トラップ仕掛けられてる」「自分も引っかかった」
  10. /nl/articles/2405/06/news001.jpg 川をせき止めるほどのゴミ→ボランティアがを徹底的に掃除したら…… 見違える変化に驚き
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評